140文字小説

日々Twitterで綴っている、実話も含むときもある創作小説ブログです。

2014-01-01から1年間の記事一覧

140文字小説「爺と女幽霊の恋の話し」

爺と女幽霊の恋話なんて、俺はくだらねぇと思ったんだ。なのに涙が止まらない。子を残し死んだ恋女房。毎日、墓の前で泣いた爺。心中しても男に会えなかった女幽霊、自分達の墓の前で毎日泣いた。時がふたりを結んだそうだ。「くだらねぇ」悪態を付きながら…

140文字小説「君に会いたい」

誰に会いたくなるんだろう。「会いたくなるんだろう」夜空を見上げて俺は、凍える唇も忘れて言葉を音にするんだ。君に会いたい。素直に言う事も出来ない。意地を張ったって良い事など何も無い。「動くか」

140文字小説「野良雪女」

雪が降る。俺の頭上にだけ雪が降る。「天罰じゃない?この前、私とのデート、すっぽかしたからよ」と彼女が言う。「天罰じゃねぇ」俺は…。「お前が拾って来た、野良雪女のせいじゃないか!」「ばれた?懐かれたみたいね」と楽しそうに彼女が言う。「クソッ」

140文字小説「言霊師」

『言葉が欲しい、言葉が欲しい…』と、唯々、辛く悲しそうに泣く幽霊。辛いのか、悲しいのか、と、問うても。『言葉が欲しい』俺に出来る事は、師匠が漉いた紙に、「言葉をやるよ」言霊に化ける紙に言葉を書いてやる。それを抱き締める幽霊の笑顔が忘れられな…

140文字小説「人間の様」

『通じ合えたなら対等』『解り合えたなら友』『愛し合えたなら家族』『そのような生きものじゃなかったのか?なあ人間』神の様な長寿な妖怪が言う。『この様は何だ?』21世紀中盤現在。欲望に勝てない人間。「側に居てくれ」モニターのニュースを見ながら……

140文字小説「師匠が死んだ日」

『産まれて来たからしょうがない』『生きて居るからしょうがない』「何だよ……それ」俺は泣きながら奴に言う。『人間だからしょうがない』「俺はな……」俺は奴の前では泣ける。生業の為の相棒だから、妖怪だから。と理由をこじつけて置く。俺の師匠が死んだ。

140文字小説「女幽霊に迫る!足音」

コツコツ…、私のヒールの足音が響き。ザクザク…、私が歩く度に後ろから付けて来る足音が増えるような気がする。(どうしよう!)心の中は焦るばかり、走ろう!逃げよう!でも足が竦む。「あの」振り返ると、「失礼ですが、貴女、幽霊ですか?」(バレた)

『たっちゃん、ごめんね』

俺は幽霊を見たんだ。雪降る夜、街灯の下で。視線を空に向ける幽霊、否、雪を見ているのか?現在版、雪女なのだろうか。俺は知らん振りして横を通り過ぎようとする。『たっちゃん、ごめんね』その声に思わず見て…。にっこり笑う幽霊は、七歳の時に死んだ母だ…

「幽霊地図屋」

俺は幽霊の為の地図屋をしているのだが…。現在、困っている。何故か、報酬だけが俺の手元に届き、仕事の依頼をするはずのご本人、幽霊が現れない。机の上の札束は数千万はある。「困ったな」俺の呟きに、「貰っときましょうよ」と、声を弾ませ言う助手。さて…

「同居人はアパートの女幽霊」

俺の部屋には女が居る。人間じゃない。俺が殺したとか……断じてそんなことはない!『ばぁ~』「な、何だよ!」『今日はおばけの日だよ?』10月31日。「おばけの日じゃねぇよ、ハロウィンてんだ」「ほら」かぼちゃのキャンドルに火を灯し。『きれい』