140文字小説

日々Twitterで綴っている、実話も含むときもある創作小説ブログです。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「俺、幽霊だけど幽霊の彼女が怖いんだ…」

『いい?私が化けて出てあげるから、よく見てるのよ?』『そそそ、それだけはやめてくれ!』彼女の化けて出方は尋常じゃない!怖いなんてもんじゃ…。『なによ』この前も屈強そうな男性が一瞬で泡を吹き気絶したくらいだ。実は俺も逃げ出したかった。『俺が化…

「俺、幽霊だけど幽霊の彼女が怖いんだ…」

俺は、彼女が…怖い!俺と彼女は既に死んでいる。『納得出来なぁ~い~』彼女が言う。『いや、その』俺は言葉に詰まる。『あなた、何年、幽霊やってるの?』『そこまで言わなくても』情け無い。『幽霊が化けて出るのは、お勤めでしょ?それが怖くて出来ないな…

「月に手を伸ばす」

夜空に在る。月に手を伸ばすんだ。届かない。絶望。丸くて、あんなに輝いて。だから月に手を伸ばすんだ。届かない。切望。伸ばした手が行き場を無くす。でも、僕は月に手を伸ばすんだ。そこに在るのだから。届かない。願望。夢に似てるね。月に手を伸ばすん…

「闇に浮かぶ白い花」

暗闇に白い花が浮かぶ。「蓮の花のよう…」恐怖も感じず。私は手を伸ばそうとして躊躇した。花びらが炎のように揺れている。私の気配を察したのか、浮かぶ花は道を示すかのように移動し始める。フラフラと着いて行く。と、「あなた!死人じゃないでしょ」誰か…

「暗闇に浮かぶ白い花」

暗闇に浮かぶ白い花。それは静かに燃える火の玉のようで。白い炎を燃やす。只、風に流され何処かに行く。着いて行こうか。住宅街を過ぎ、鳥居を潜った。『どこだ、此処は?』俺は辺りを見廻す。いつの間にか人が増え。『そうか…』と、口にする頃には自分が死…

「寂しいて思うのは」

寂しいて思うのは、想う相手があってこそだ。なんて言うけど、違うよ。みんな生きるものは繋がっているんだ。だから寂しいんだよ。だから声をあげるんだ。そして俯き、声のない涙で泣くんだ。でもそれは伝わるから。何故なら、みんな生きているから。

「復讐キッド」

復讐キッドが売り出された!これは!「俺が買ったの…お笑いバージョンじゃないか…」気が滅入る。が、彼女の家に向かう!復讐キッドの出番だ!「あっははは!や、やめてぇ~。も、もう~別れるてぇ~言わないからぁ~」「え?」「な、なに泣いてるのよ」嬉し…

「骸から生まれた火」

骸から生まれた火。どこへ行くんだ?一人で歩き出した。足はあるようだ。ボウボウと燃える足は向かい風に煽られて後ろに尾を伸ばす。その内に手が生えた。大きく両腕を振り歩いて行く。今度は坂道を行くのか?上を見上げている、それは頭のようだ。ひとがた…

「不器用な彼と彼女」

「辛いて言っちゃ駄目!」「辛いて言っていいよ?」これが俺の彼女の口癖。矛盾してるよな!励ましや慰めの言葉は、それこそ沢山あるんだ。けどさ、俺、思うんだ。彼女はきっと、俺を認めている。信頼もしてくれてるかな?だからこその言葉だって。これが、…

「詩を忘れたカナリア」

「ねえ、私の為に歌って。ずっとずっと…」カナリアが言うんだ。羽をばたつかせて。彼女は歌うことを忘れ、代わりに人の言葉を覚えた。「歌って」来る日も来る日も言葉を話す内。最初の話せる嬉しさを忘れ、話す言葉は嫉妬に変わる。僕はカナリアの為に歌うん…

「スマホに移動?佐藤さん鈴木さん田中さん」

『鈴木さん!』『おや?どうしました田中さん』『いやね、ガラケーが無くなりそうなんですよ』『そう言われれば、二つ折りを持つ人が少ないと思った』『今晩は』『佐藤さん』『どうです?皆さんでスマホと呼ばれる携帯電話に移動しては』『え?』化けて出方…

「データ型の命」

SF

不死を望んだ人間達。コンピューターという機械の中で生きることにした。きっと、死が存在しない世界だと信じて。心を情報としてデータ型にした。人間はあらゆるものを手に入れたんだ。人間達は満たされた。『コンピューター万歳』『データ型こそが命』その…

「私で良いの?」

電車で見掛けるあの子に恋をしたんだ。おっ!今日はやたらと目が合う。車両の中だというのににやけてしまう。えっ?あの子が近付いて来る?『あの……私のこと毎日見えてるみたいだけど』話し掛けて来た!『顔が赤いよ?私で良いの?』「お、俺!」『私、幽霊…

「絶望の経験」

死ねないのなら生きるしかない。「死ねないのなら…」言葉にしようとした俺の口元。続きが出て来ない。挫折を繰り返し経験した。しかし、絶望を経験したのは初めてだった。挫折は私事。乗り越えた。絶望も私事。乗り越えられるか?「辛い」今の俺に口に出来た…

140文字小説「儚い者」

儚い夢を見たんだ。君が陽炎のように揺れる。僕は手を伸ばすことを躊躇う。「何を泣いているの?」休日の夕方。寛ぐ部屋の中。彼女は優しく僕の涙を拭おうとしてくれるけれど…。「幽霊の涙は拭けないんだね」彼女が微笑みを作る。僕は両腕で彼女を抱き締める…

140文字小説「停電後の世界」

SF

停電後の世界は、異世界だった。いつもと違う世界が窓の外に広がる。チカチカッ。「なんだ?また…」停電後の世界は、過去だった。ドンッ!窓に巨大な鳥がぶつかり…。パチパチ。「おい…」停電後の世界は…。「いい加減にしてくれよ」『お気に召しませんか?』…

140文字小説「呪いのRed-ray」

「呪いのDVDのなんてもう古いの!今は呪いのRed-rayの時代よ!」「Blu-rayと掛けた駄洒落?」「違うよ!赤いディスクもお洒落だけど、これは何とオプション付き!」「え?」「だから、オプション付き!」「動画に映った霊が飛び出るオプション付き!」イヤァ…

140文字小説「赤い空」

空が赤い。毎日空が赤いんだ。朝も昼も夕方も、そして夜も空が赤いんだ。人は…それを見上げる。狂い出すんだ。何もかもが。見たこともない赤い空が続き、世界中の人がぽつりぽつりと言葉を口にする。人は一端口を開くと止まらない。阿鼻叫喚の果て。絶望が寄…

140文字小説「時間の逆襲」

SF

時間が言いました。『日頃…時間が無い!と文句ばかり言われるので…』『本日付けで時間を逆行することにしました。有意義にお使い下さい』「え?」人々は驚きを隠せません。そして世の中は時間が巻き戻り…どんどん若返り…終いには赤ん坊に。どうすんだ?これ!