140文字小説

日々Twitterで綴っている、実話も含むときもある創作小説ブログです。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

140文字小説「四季を殺して」

俺は春を殺した。君の笑みが気味悪く芽吹いた生命は死んだ。夏を殺した。死んだ途端に雪を壮大にぶちまけた。君が舞う姿を見る。秋を殺した。君の瞳に炎が宿り。生きるものは狂い、断末魔命に色を着け。冬を殺した。全て吹き荒ぶ風に持って行かれ俺と君が残…

140文字小説「神への復讐」

荒ぶる神の贄は君。俺は傍観者。助ける義理は…有るが。荒ぶる神の贄は弟。俺は視線を逸らす。肉親という身を引き千切られる。荒ぶる神の贄は…。俺は時が来たことを悟る。此の時とばかりに狂い人を演じ、神も神の住処も人さえも焼き払う。残るは、俺の肉体と…

140文字小説「融合PCの注文」

SF

「融合PCの注文が来たんだが…」「何か問題でも?」「今回は半化石の琥珀を材料にとの依頼なんだが、故人が所有していたものを使ってくれ。て、ことなんだよな」「う~ん。俺の眼は鉱物専門だし…。今回は死人の眼を借りるか?」相棒の妖怪が言う。「行くぞ。…

140文字小説「死の自覚」

人間は何時か死ぬ。何時か死ぬことを自覚出来ない人間は怖い。鏡を見てご覧?そこには何が映って居る?肉体の姿を視て。その奥に潜む神経を視て。更に心を視て。「何が見えた?」自覚が無ければ自分の姿は視えないよ?何時か死ぬことを知らない人間は怖い。

140文字小説「女妖怪取っ組み合い」

「俺はなぁ…お前らの様を見届けなきゃいけねぇ…なぁ」「誰が決めた訳でもねぇ、俺が決めた」女の妖怪が掴み合いの取っ組み合い。殺し合いをしている。俺は止めること無く、只、見る。これは奴らの理なんだ。「どんな無様な様も、見届けてやるからよ」場が答…

140文字小説「絶縁の詩」

絶縁の詩を詠う。少年が詠う。枯れた心を抱えて。少女が詠う。悲しみに貫かれて。青年が詠う。勇気を手放して。娘が詠う。裏切りに震えて。老婆が打つ手、詩を詠う。この絶縁の全ての心を手に乗せて。女が詠う。断ち切る詩を。依頼主のひとつの縁切りが織り…

140文字小説「幸福と不幸」

幸福が存在する。不幸が存在する。皆、我も我も。「幸福」「不幸」四苦八苦する。誰かが声を掛ける。労りの言葉も、促す言葉も。その言葉の諸々が掻き消えて行く。必死に掴んだそれ。それは誰の為?「幸福」「不幸」誰のもの?誰の為のもの?心に聴く事は出…

140文字小説「一人じゃない」

「何故、人を意識するんだ?」「人は一人じゃないからさ」さり気なく友が言う。「君の作品も人柄も人とは違う。その存在感。君以外の人には有り得ないよ」「ははっ、褒め言葉として貰っておくよ」切なそうに目を細める友の顔。「飲み明かそう!」人は一人じ…

140文字小説「言葉と小さな妖怪」

『言霊……』『言葉、食べる』『食べる』『言葉が欲しい』『欲しい』『食べる』『……』毛玉のような手の平に乗る妖怪。俺の右肩で喧しい。放って置くと静かになった。と、思ったら泣き出した。「しょうがねぇなぁ……」此奴の為に俺は、ぽつりぽつりと言葉を口に…

140文字小説「人類滅亡スケジュール」

SF

”人類滅亡スケジュール”が神様から届いたぁ!「ええ~」ブーイングする人類!『ええ~』ブーイングに反応する神様!『この人類だけが滅亡するように綿密に繊細に立てた、この素晴らしいスケジュールの何が気に入らないか言ってみなさい!』と、神様に言われ…

140文字小説「一点の流れから」

一点の流れを見詰めたのなら見えた筈。一点の流れに五感を合わせる。人は忘れていたのかもしれない。『よう、見えたか?』「ああ」研ぎ澄ませ五感。そして引き出せ辿り付け第六感。一点の流れから見付け出せ。見ろ。心身に刻め。一点の流れから。辿り付く感…

140文字小説「親父ギャグと病気」

親父ギャグを連発しないと死んでしまう病気に掛かってしまった!「何言ってんの?馬鹿?」彼女が言うのもごもっともだ!「だがな…人事部の加藤さんはネタ切れでこの前、救急車で運ばれてだな…」「はぁ?」「時間だ!ギャグが滑らなかったら…俺の骨は拾ってく…

140文字小説「謝罪の行方」

謝って欲しい人間がもうこの世に居ないのと、謝りたい人間がもうこの世に居ないのと、どっちが幸せなのかな?「幸せ?」彼は聞き返した。「僕はどちらにも幸せがあって不幸があると思うよ」彼が答える。「だって君の想いを伝えられないのだから。幸せでも不…

140文字小説「地獄で骨を拾って」

『そこの骨、拾って』通りすがりの亡者に言う。意識が有るのか無いのか、私に骨を渡す。此処は地獄。婚約者が乗った飛行機がハイジャックされ…そして…撃ち落とさ…否。墜落した。私は迷わず墜落したとされた海に飛び込んだ。せめて彼の骨を拾う為に。『骨、拾…

140文字小説「宇宙のペンダント」

宇宙を詰め込んだんだ。ペンダントに。「君に見せたかったんだ」君の瞳に映した宇宙。この暖かさも伝えたかったんだ。「きれいね」君は目を輝かせてくれたね。その瞳に映った宇宙を僕も見て…。「そうだね」と答えた。新しい年。喜びをふたりで手に入れたんだ…

140文字小説「給料UP!」

おかん「大赤字なのに景気良く社員(身内)の給料とボーナス、UPしたんだって?」政府「だい~じょう~ぶ~」おかん「ちゃんとお客様(国民)へのサービスは行き届いているんでしょうね?」政府「えへへっ」おかん「この子は…」政府「お尻出す?」政府「痛い…