140文字小説

日々Twitterで綴っている、実話も含むときもある創作小説ブログです。

サイトのお引っ越し

【お知らせ】 こんばんは。140文字小説にお越し下さりありがとうございます。 こちらのサイト。更新もせずに申し訳ありません。 色々悩んで、結局はオリジナルドメインを取り、ちゃんとサイトを作ることにしました。 ぼちぼちですが、過去の140文字小説を載…

「俺、幽霊だけど幽霊の彼女が怖いんだ…」

『いい?私が化けて出てあげるから、よく見てるのよ?』『そそそ、それだけはやめてくれ!』彼女の化けて出方は尋常じゃない!怖いなんてもんじゃ…。『なによ』この前も屈強そうな男性が一瞬で泡を吹き気絶したくらいだ。実は俺も逃げ出したかった。『俺が化…

「俺、幽霊だけど幽霊の彼女が怖いんだ…」

俺は、彼女が…怖い!俺と彼女は既に死んでいる。『納得出来なぁ~い~』彼女が言う。『いや、その』俺は言葉に詰まる。『あなた、何年、幽霊やってるの?』『そこまで言わなくても』情け無い。『幽霊が化けて出るのは、お勤めでしょ?それが怖くて出来ないな…

「月に手を伸ばす」

夜空に在る。月に手を伸ばすんだ。届かない。絶望。丸くて、あんなに輝いて。だから月に手を伸ばすんだ。届かない。切望。伸ばした手が行き場を無くす。でも、僕は月に手を伸ばすんだ。そこに在るのだから。届かない。願望。夢に似てるね。月に手を伸ばすん…

「闇に浮かぶ白い花」

暗闇に白い花が浮かぶ。「蓮の花のよう…」恐怖も感じず。私は手を伸ばそうとして躊躇した。花びらが炎のように揺れている。私の気配を察したのか、浮かぶ花は道を示すかのように移動し始める。フラフラと着いて行く。と、「あなた!死人じゃないでしょ」誰か…

「暗闇に浮かぶ白い花」

暗闇に浮かぶ白い花。それは静かに燃える火の玉のようで。白い炎を燃やす。只、風に流され何処かに行く。着いて行こうか。住宅街を過ぎ、鳥居を潜った。『どこだ、此処は?』俺は辺りを見廻す。いつの間にか人が増え。『そうか…』と、口にする頃には自分が死…

「寂しいて思うのは」

寂しいて思うのは、想う相手があってこそだ。なんて言うけど、違うよ。みんな生きるものは繋がっているんだ。だから寂しいんだよ。だから声をあげるんだ。そして俯き、声のない涙で泣くんだ。でもそれは伝わるから。何故なら、みんな生きているから。

「復讐キッド」

復讐キッドが売り出された!これは!「俺が買ったの…お笑いバージョンじゃないか…」気が滅入る。が、彼女の家に向かう!復讐キッドの出番だ!「あっははは!や、やめてぇ~。も、もう~別れるてぇ~言わないからぁ~」「え?」「な、なに泣いてるのよ」嬉し…

「骸から生まれた火」

骸から生まれた火。どこへ行くんだ?一人で歩き出した。足はあるようだ。ボウボウと燃える足は向かい風に煽られて後ろに尾を伸ばす。その内に手が生えた。大きく両腕を振り歩いて行く。今度は坂道を行くのか?上を見上げている、それは頭のようだ。ひとがた…

「不器用な彼と彼女」

「辛いて言っちゃ駄目!」「辛いて言っていいよ?」これが俺の彼女の口癖。矛盾してるよな!励ましや慰めの言葉は、それこそ沢山あるんだ。けどさ、俺、思うんだ。彼女はきっと、俺を認めている。信頼もしてくれてるかな?だからこその言葉だって。これが、…

「詩を忘れたカナリア」

「ねえ、私の為に歌って。ずっとずっと…」カナリアが言うんだ。羽をばたつかせて。彼女は歌うことを忘れ、代わりに人の言葉を覚えた。「歌って」来る日も来る日も言葉を話す内。最初の話せる嬉しさを忘れ、話す言葉は嫉妬に変わる。僕はカナリアの為に歌うん…

「スマホに移動?佐藤さん鈴木さん田中さん」

『鈴木さん!』『おや?どうしました田中さん』『いやね、ガラケーが無くなりそうなんですよ』『そう言われれば、二つ折りを持つ人が少ないと思った』『今晩は』『佐藤さん』『どうです?皆さんでスマホと呼ばれる携帯電話に移動しては』『え?』化けて出方…

「データ型の命」

SF

不死を望んだ人間達。コンピューターという機械の中で生きることにした。きっと、死が存在しない世界だと信じて。心を情報としてデータ型にした。人間はあらゆるものを手に入れたんだ。人間達は満たされた。『コンピューター万歳』『データ型こそが命』その…

「私で良いの?」

電車で見掛けるあの子に恋をしたんだ。おっ!今日はやたらと目が合う。車両の中だというのににやけてしまう。えっ?あの子が近付いて来る?『あの……私のこと毎日見えてるみたいだけど』話し掛けて来た!『顔が赤いよ?私で良いの?』「お、俺!」『私、幽霊…

「絶望の経験」

死ねないのなら生きるしかない。「死ねないのなら…」言葉にしようとした俺の口元。続きが出て来ない。挫折を繰り返し経験した。しかし、絶望を経験したのは初めてだった。挫折は私事。乗り越えた。絶望も私事。乗り越えられるか?「辛い」今の俺に口に出来た…

140文字小説「儚い者」

儚い夢を見たんだ。君が陽炎のように揺れる。僕は手を伸ばすことを躊躇う。「何を泣いているの?」休日の夕方。寛ぐ部屋の中。彼女は優しく僕の涙を拭おうとしてくれるけれど…。「幽霊の涙は拭けないんだね」彼女が微笑みを作る。僕は両腕で彼女を抱き締める…

140文字小説「停電後の世界」

SF

停電後の世界は、異世界だった。いつもと違う世界が窓の外に広がる。チカチカッ。「なんだ?また…」停電後の世界は、過去だった。ドンッ!窓に巨大な鳥がぶつかり…。パチパチ。「おい…」停電後の世界は…。「いい加減にしてくれよ」『お気に召しませんか?』…

140文字小説「呪いのRed-ray」

「呪いのDVDのなんてもう古いの!今は呪いのRed-rayの時代よ!」「Blu-rayと掛けた駄洒落?」「違うよ!赤いディスクもお洒落だけど、これは何とオプション付き!」「え?」「だから、オプション付き!」「動画に映った霊が飛び出るオプション付き!」イヤァ…

140文字小説「赤い空」

空が赤い。毎日空が赤いんだ。朝も昼も夕方も、そして夜も空が赤いんだ。人は…それを見上げる。狂い出すんだ。何もかもが。見たこともない赤い空が続き、世界中の人がぽつりぽつりと言葉を口にする。人は一端口を開くと止まらない。阿鼻叫喚の果て。絶望が寄…

140文字小説「時間の逆襲」

SF

時間が言いました。『日頃…時間が無い!と文句ばかり言われるので…』『本日付けで時間を逆行することにしました。有意義にお使い下さい』「え?」人々は驚きを隠せません。そして世の中は時間が巻き戻り…どんどん若返り…終いには赤ん坊に。どうすんだ?これ!

140文字小説「彼女の行動」

街の喧騒の中、彼女が立ち止まり俺を指差す。「何だよ、行き成り指差しなんて」俺は日頃の忙しさにイラッとした。今度は自分を指差す彼女。「何がしたいんだよ」苛立ち。彼女が近付き、そっと俺に回した腕はその後強くなった。ああ、抱き締め合う事もしてい…

140文字小説「不器用な彼女」

「会えないのが辛い!」とかさ…、「本当は寂しいの!」とかね…、「私も言ってみたい!」不器用な生き方の彼女の本音の言葉を付き合い始めて三年目で初めて聞いた。僕は情け無くなって口惜しくなって。そして何故か「ありがとう」と言う言葉と共に彼女を抱き…

140文字小説「姉弟の肝試し」

「姉ちゃん、いい場所見付けたんだ!病院の廃墟…」「夏彦!またぁ?」「いいじゃないか!俺、姉ちゃんに勝った事無いんだからさ~」「逃げ出す癖に…」「男として勝つまでやる!」「で?今夜?」「お、おう!」私達は今日も肝試しに行く。弟、24歳独身。姉…

140文字小説「意外な発言」

「陽は沈む。けれど、陽はまた昇る」当たり前の様に人々に語り継がれる様に在る言葉。苦しい時今、僕はその言葉を呟き涙した。そしてまさに陽が昇ろうとした瞬間。『昇ってみても良いでしょうか?』世界中に響いた声。『太陽ですが、そろそろ飽きられたかと…

140文字小説「創られた世界ーネットワークー」

SF

此処は誰かが構築した世界なんだ。皆気付かない。創られた世界の個で在る事に。その世界を飛び越え、違う世界に行ってしまったら異世界なんて言う。でもそこも創られた世界なんだ。そして、その世界はネットワークされた世界の中に在る。ねえ、もう、そんな…

140文字小説「精神を喰らう者」

SF

精神を喰らう者が現れて千年。人間を含めた動物。生きるものの世界が変わってしまった。その喰らう者の姿形は人間と同じ。噂では生活そのものも同じらしい。精神を喰らわれたものはその生き物として価値を損ない。何かに従属した生き方しかない。殺伐とした…

140文字小説「親父の口癖」

「時代が選ぶ。お前はやりたいようにやれ。なあ、時代は大きいぞ?」こんな事を言われて育った俺。反発すると、『俺も親父の口癖が移ってな』と、照れ笑いをする。そんな俺も三十路を過ぎようとしている。親父の口癖が口を突く。「時代が選ぶ…」声に出し思う…

140文字小説「密告法」

SF

”密告法”が施行された。半世紀程前に登録を開始したマイナンバーと顔写真が公開され、インターネット、モバイル等でボタン一つで密告出来ると言う仕組みだ。当初は安易にストレスの軽減、コミュニケーションの向上が見込まれたが…。何故か、殺傷事件が増加し…

140文字小説「氷付けの幽霊」

『あの~』雪道を歩いていた。久々の都会の大雪。大声で呼び止められる。横を見ると、『油断してたら氷ってしまって……』電信柱の横で氷の中に男が居る。「氷付けで何故、喋れるんだ!」つい、パニックから言葉が出た。『幽霊ですから』取り敢えず、氷を溶か…

140文字小説「バレンタインデー」

「生きる事は楽しいんだよ」行き成り意味が解らない。目に沢山涙を溜めた彼女が言う。「好きだよ!」海外で就職した。一年振りに彼女に会ったバレンタインデー。「チョコありがとな」公園のベンチは冷たくて、寂しいが言えなかった彼女。チョコは少し塩っぱ…